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自然と“もう一口”食べたくなる!優しさあふれるお菓子の秘密

ONE MORE BITE in ヴァイキングホール

メッツァビレッジの住人・第16回は、ヴァイキングホールの1階にある「ONE MORE BITE」です。数々の受賞歴を誇る熊本県・吉井牧場の夢ミルクを使ったソフトクリームと、丁寧に作られた焼き菓子をメインに扱うお店で、焼き菓子はソフトクリームにトッピングして楽しむこともできます。常設店としては初出店というショップのお話と、美味しさにまつわるストーリーをお聞きしました。

そのままでも美味しいソフトクリームに、トッピング+焼き菓子をオン!

「ONE MORE BITE」は、メッツァビレッジのお店が初の常設店舗。焼き菓子はイベントや催事で販売していた頃から評判でしたが、このお店では新たにソフトクリームをラインナップに加えました。時には行列ができるほど、すでに多くのファンを集めています。

早速「ONE MORE BITE」の看板商品をいくつか紹介していただきましょう。今回インタビューに答えてくださったのは、プロデュースを手掛けた船谷博生さんと、共に関わっている中尾文香さん(写真)のお二人です。

「ソフトクリームは吉井牧場の夢ミルクを使っていて、全部で4種類あります。
ソフトクリームはプレーンのものにトッピングを追加することができます。トッピングは全部で10種類、どれを選ぶかで全然味が違ってくるから楽しいですよ。さらにそこに焼き菓子を1つつけたものが『ワンモアバイト』、2つだと『ツーモアバイト』、3つの場合は『ギルティ・プレジャー』。『ギルティ・プレジャー』っていい名前でしょう。食べたいけどどうしよう!?っていう気持ちを商品名にしました(笑)。」(船谷さん)

《ソフトクリーム 400円》《ワンモアバイト 700円》

《ギルティ・プレジャー 1,000円》

《焼き菓子 各種》

「焼き菓子は全10種類のなかから5種類、だいたい週替わりで選んだものをお店に置いています。こちらはその一例です。(右から半時計回りに)
『さいたまマドレーヌ』
昔懐かしさを再現しながら、高級感のあるしっとりした味に仕上げました。レモンのピール入りで爽やかな風味です。
『日々木の森 チョコブラウニー』
自然栽培のブルーベリーを生かすために、最小限のレモン汁だけを使用しています。濃厚なチョコと酸味のバランスが絶妙です。
『日々木の森 ホワイトブラウニー』
爽やかな風味が特徴のホワイトチョコ味です。
『横濱フリアン(抹茶)』
濃厚な抹茶味のマドレーヌです。焼き込んだ表面のカリッとした食感と、中のしっとり加減を楽しんで欲しい一品です。
『ココナッツサブレ』
シンプルな材料ながら、きちんと焼き込むことで食感にもこだわりました。
『ショートブレッド ピスタチオ/フランボワ』
どちらもバターのコクと塩味が効いていて、1枚で満足できるショートブレッドです。フランボワーズの爽やかな風味や、ピスタチオの濃厚さなど、それぞれの素材の味がよく出ています」(中尾さん)

「本物の価値をわかってほしい」。お菓子に秘められた背景

ところで、「ONE MORE BITE」という店名はどうやって名付けられたのでしょうか。

「人って美味しいものを食べると笑顔になるでしょう。その笑顔こそが幸せの鍵なんです。だからこそ、もう一口食べたくなるような美味しいものを提供したい、そんな想いを込めて『ONE MORE BITE』という名前にしました」(船谷さん)

「ONE MORE BITE」のお菓子を食べた人は、みな口々にこう言っていました。「なんだか優しくて、ホッとする味」だと。実はこれらのお菓子づくりの背景には、思いもよらないストーリーがあったのです。

「本当に美味しいお菓子を提供できるように、有名なシェフにレシピを監修していただき、材料はいいものにこだわり続けるなど、細部に至るまで一切妥協をせず作っています。
実は、焼き菓子はすべて福祉施設で作られているんです。彼らが一生懸命丁寧に作ったものを、食べた方が美味しいと言って感謝の笑顔で讃えてくれる。それで彼らも作っていてよかったと心の底から思い、働きがいを感じています。
福祉施設のことは、お菓子の封を開ければわかりますが、あえて表立って見えるようにはしていません。だからこそ、本物を提供しなければいけないと思っています」(船谷さん)

表立って見えるようにしていないのは、「できあがったものをフェアに評価してほしいから」だと船谷さん。とにかく価値を分かってもらいたいと、力強く語ってくれました。

メッツァでは本当に美味しいお菓子だけを販売したいと探していたところ、船谷さんが携わる埼玉の施設の焼き菓子が抜擢されたのです。これはまぎれもなく、お菓子そのものが評価された結果。こうやって少しずつ、でも確実に、本物の味が認められています。

「愛情や気持ちを込めると、もっと美味しくなるんです」

社会福祉士でもある中尾さんが、お菓子作りについてこんなエピソードを聞かせてくださいました。

「彼ら(福祉施設で働くパティシエさん)は、1000個のお菓子を作るとき、1分の1のものづくりをしています。つまり一期一会なんです。恐らく効率性を考えたら、1000分の25とか、1000分の500とか、そういうものの見方をすると思うのですが、彼らは1つ作り終えたら新たな気持ちでまた次の1つに向き合っています。監修してくださったシェフもその姿勢に感銘を受けていました」(中尾さん)

きちんと手間暇をかけ、できるだけ添加物を入れず、子どもが食べても安心な素材のみを使用する、そうやってできあがったお菓子が評価されるのは、当然の結果だと言えます。

「愛情や気持ちがこもると、食べ物は美味しくなります。一生懸命本気で作ると、味は変わってくるんです。それはシェフも同感されて、これこそが彼らの強みだろうとおっしゃってくれました」(中尾さん)

実際に、デパートの催事で焼き菓子を販売した時、「本当にいい素材で、丁寧に作ってるわね」とお客さんからお褒めの言葉をもらったのだそうです。これは、真摯に向き合ってきたことがきちんと伝わっていた証拠だと言えます。

このように想いはたくさんつまっていますが、実際に食べてみると、それを忘れてしまうような心ほどける優しい味わいです。ここではいっそのことギルティ(罪)なんて忘れて、もう一口、二口と思う存分楽しんでみてはいかがでしょうか。

※記載の値段はすべて税抜

取材・文 河辺さや香
写真 末松千夏


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