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おいしい狭山茶をお客様のもとへ。お茶農家が手がけるお茶カフェ

武蔵利休 in マーケットホール

メッツァビレッジの住人、第7回は、埼玉県所沢市の製茶会社「新井園本店」が手掛けるお茶カフェ「武蔵利休」です。「新井園本店」の専務取締役、新井久文さんにお話を伺いました。

自分たちが作ったお茶を、お客様に直接お淹れしたい

お話を伺ったのは、埼玉県所沢市にある「新井園本店」の製茶工場。周囲には青々としたお茶畑が広がっています。

「大正13年に先々代が三ヶ島共同製茶工場設立したのが『新井園本店』の始まりです。当時は作った茶葉を問屋さんに卸していました。『直接お客さんの声を聞きながらお茶を作りたい』そんな思いもあり、昭和53年に会社を設立し、お茶の栽培から製茶、販売までを自分たちで行う一貫生産体制を整えました」

メッツァビレッジに「武蔵利休」の出店を決めたのも、自分たちが作る美味しいお茶を、より多くの人に届けたいという思いからです。そこで、みなさまとの素敵な出会いを待っています。

「もちろん、お茶を飲む人の裾野を広げて消費拡大を狙うという意図はあります。今は、急須のないご家庭も多いですよね。ペットボトルのお茶が増えて、冷たいお茶を飲むという文化が広がったのを感じています。お茶の飲まれ方も、時代とともに変化していますよね。『武蔵利休』を始めたのも、そんなお茶の可能性を広げるためです。
抹茶を原料にしたスイーツやラテを作ったり、逆に抹茶のお菓子に合うお茶を出すのもいいですよね。なんと言っても『メッツァビレッジ』はムーミンのいる“新しいテーマパーク”ですから、『武蔵利休』も“新しいお茶のスタイル”を提案していきたいですね」

「天皇杯」に導いた「新井園本店」の狭山茶

「新井園本店」が作るお茶は、埼玉県の入間市、所沢市、狭山市を中心に生産されている「狭山茶」と呼ばれる煎茶です。いったいどんな特徴があるのでしょうか。

「狭山茶は、京都の宇治、静岡と並ぶ日本三大銘茶のひとつと言われています。『色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と謳われるように、味わいに特徴があります。
このあたりの寒い冬を乗り越えるため、茶葉に厚みがでるんです。葉肉が厚いぶん、火入れや乾燥の度合いが他の地域のお茶に比べて強く。“狭山火入れ”と言う独特の技法で仕上げられます。そうすることで、香ばしさとまろやかな甘みやコクが出て、狭山茶独特の滋味深い味わいが生まれるんです」

「新井園本店」代表は、農林水産祭の最高賞となる「天皇杯」を受賞しています。

天皇杯とは、毎年農林水産関係団体等が「農林水産祭参加行事」として開催する約300の行事(約10万点の参加)において農林水産大臣賞(約500点)を受賞した者の中から中央審査委員会の厳正な審査を経て選定されます。現在、7部門7点が受賞されます。

「平成7年に農林水産大臣賞に選出され、その翌年平成8年、蚕糸・地域特産部門で『天皇杯』を賜りました。
狭山のお茶屋さんの中で一番になるのも大変。ましてや、全国の生産者の中で天皇杯を受賞するというのは、本当に大変なことです」

「天皇杯」を受賞したのは、狭山茶の生産者として初めてのことです。
新井さんの名刺の裏には、お客様への誓いの言葉が書かれていました。

『常にお客様の気持ちを考え
真心を込めてお茶づくりに専念し
お客様には真心のこもったサービスを』

会社の理念を常に意識し全員が共有することで、美味しいお茶づくりを可能にしているのです。

“日本茶の魅力”を発信していく時代です

「日本茶は紅茶や烏龍茶と違い、茶摘み後すぐに蒸気で熱処理をして茶葉の発酵を止めます。だから茶葉の形や色合いもそうですが、湯温の違いで独特の旨みや香りの違いを、より楽しむことが出来るんです。日本茶は世界でも特有のお茶なんですよ。
狭山茶だ、なになに茶だとか、そういった地域間の違いもありますけれど、今はもうそういう時代ではないと感じています。日本の緑茶文化、美味しい日本茶を世界に向けて紹介していきたいですね」

新井さんのお話を聞いていると、日本茶の持つポテンシャルの高さが伝わってきます。「武蔵利休」では、そんな日本茶の新しい味わいが発見できることでしょう。

取材・文/美濃羽佐智子
写真/末松千夏

※1
天皇杯:農林水産省が主催する表彰制度。全国の農林水産大臣賞受賞者の中から選ばれる、国内で最も権威のある賞。


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