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Nordic Sky プラネタリウムスペースの北欧ロケ地めぐり

メッツァビレッジで開催中の、文部科学大臣表彰科学技術賞受賞者でもあるプラネタリウム・クリエーター大平貴之氏の監修による「Nordic Sky プラネタリウムスペース」では、フィンランドとスウェーデン現地で撮影を行い、初公開となる映像を使ったオリジナルコンテンツを上映しています。場所はどこ?というご意見をよくいただきますので、メインのロケ地とともに、ストーリーをご紹介していきます。

1.スウェーデン・ストックホルム

オープニングに登場するシーンが、スウェーデンのストックホルムの街並みです。

ストックホルムはスウェーデンの首都で、いくつもの島と多くの橋で結ばれた景観は、別名「水の都」や「北欧のベニス」とも呼ばれ、スタジオジブリのアニメーション「魔女の宅急便」に登場する主人公キキが移住を選んだ都会の町の参考にしたと言われている美しい都市。

撮影をしたセーデルマルム地区は、おしゃれなお店やカフェが建ち並んでいる人気の場所であるとともに、ストックホルムの人々が一番住みたいと思っている場所でもあります。

中世の街並みが残るガムラ・スタン(旧市街)地区と、市庁舎が見える現市街を挟むように道路が通るのが見渡せる場所に三脚を立てて、さまざまな時間帯で撮影をしました。


2.フィンランド・オーランド

スウェーデン・ストックホルムの都会の風景から、風の赴くままに舞台が移った先は、森林面積が約7割といわれるフィンランド。

撮影は、スウェーデンとフィンランドの中間の島、オーランドで行いました。オーランドは、バルト海に浮かぶ2万6千もの島々からなる群島で、古くからバルト海の海上貿易の中継地点として重要な役割を担っていた場所です。

プラネタリウムスペース映像としても、北欧間をつなぐ場所として登場し、この途中からメガスター(監修者の大平氏が開発したプラネタリウム投影機)が点灯を始めます。

太陽の沈まない夏至の時期はあっという間。

このあと、星空が動き出し、シーンは、夏から秋へ。時折、流れ星も現れます。


3.フィンランド・ヘルシンキ

次の舞台となるフィンランドの首都ヘルシンキは、コンパクトな街並みの港町。ヘルシンキ中央駅などナショナル・ロマンティシズム(北欧古典主義)の建築様式も残りながら、ワールドデザインキャピタルにも指定されたこともあります。クラシックと北欧モダンの共存が心地よくされており、街の中はいたるところにデザインにあふれている都市です。

プラネタリウムスペースのロケーションは、ヘルシンキ大聖堂やマーケット広場が見渡せる、ヘルシンキの象徴的なシーンで、秋から冬にかけて登場します。

秋の星空から、秋に出てくる代表的な星座のアニメーションが流れたあと、冬が訪れ、バルト海が少しずつ凍り、雪もぽつぽつと降り始めます。

雪はしんしんと降り続け、最後は街並みに雪をかぶり、一面は雪景色に。

やがて雪が吹雪いて空一面を覆いつくします。

雪が晴れて再び星空が現れたときには、次のシーンへ。

北欧の冬の夜空の主役であり、プログラムのクライマックスであるオーロラの登場です。

引用 大平技研公式サイトより

自在に色や形を変えるオーロラの乱舞のあと、再び星空が現れて、シーンは動き出します。

空もうっすらと明るくなり、夜明けがやってきます。

そのあと、舞台はストックホルムへと戻り、北欧の四季を巡る旅が再びはじまります。

そちらをふまえて、改めて今回のメインビジュアル (↓)をご覧ください。

よく見ると、下部分の左サイドの建物は北欧の街並み、そして右サイドは自然が描かれていて、中心の冬のオーロラを挟んで建物も少し雪をかぶっていたりします。北欧の都会と自然の対比、四季の移り変わりなどを感じていただけるように実はデザインをしています。


気軽にプラネタリウム、だから「プラネタリウム ‛スペース’ 」

今回のイベント会場であるメッツァホールは、通常はイベントホールとしてポップアップショップや展示などが開催されている場所です。

通常の球体の天井で音響や機材設備が整った「プラネタリウム」は本格的な施設にお任せして、メッツァでは、時間を気にせず、そして、涼しい環境の中で、束の間の北欧体験を気軽に楽しんでいただきたいというコンセプトから「プラネタリウムスペース」は生まれました。

昔の映画館のように、時間を気にせず楽しんでいただけるよう、座席入れ替え制ではなく、スペース内の入退場は、自由にお好きなタイミングでしていただくことにしました。

ハンモックや芝生スペースなど、いくつかのタイプの座席をご用意しており、自由に座り方を選ぶことができますので、入場された方は、最初の椅子に座ったあと、違う椅子に座ってみたり、寝転んでみたりと、思い思いに過ごされています。

音楽も、プラネタリウムで一般的に流れているようなクラシックでは個性がないので、テクノやアンビエント、スウェディッシュポップのような北欧の「今」を感じるような音楽を意識してセレクトしました。テクノは、スウェーデンのAviichi 、スウェディッシュポップはMalmöのタンバリンスタジオで収録されているような雰囲気のもの、また、アンビエントは アイスランドを代表するSigur Rósのような、それぞれの音楽ジャンルっぽさの「いいとこどり」で編成しました。(ジャンルとして確立している「北欧メタル」は流石に割愛しました。悪しからず。)

実は、音楽の中には、世界的に大人気となりハリウッドリメイクもされたデンマークミステリードラマの挿入歌を潜ませています。

あえて挑戦的な書き方をするならば、北欧ブームと言われる昨今、北欧好きと名乗る方も多くいますので、それに気づいた方は、本当に北欧の文化に詳しい方や、北欧ミステリー通なのかなと思います。


~星降るmetsa~ 「Nordic Sky プラネタリウムスペース」

開催 2019/7/20(土)~9/1(日)

https://metsa-hanno.com/event/2621/

納涼(のうりょう)とは、夏の盛りの暑さを避けるために、涼しさや過ごしやすさを工夫して創り出し、味わうことだそうです。

日本も北欧も「四季」がある場所。

少しずつ秋の気配を感じる季節となってきましたが、暑さ知らずのプラネタリウムスペースで納涼をして、夏納めをしてみるのも、今の季節の区切り、そして次の季節への切り替えとして、一興かもしれません。


文と写真 川崎 亜利沙



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