フィンランドの名門アートスクールが、メッツァビレッジにやってきた!
メッツァビレッジの住人・第15回は、フィンランドの名門アートスクール「ポルヴォー・アートスクール」が手がけるワークショップについてです。11月上旬、メッツァのオープンに合わせてフィンランドから来日していた3人の先生に、スクールの魅力やアートの素晴らしさについてお聞きしました。ハッピーオーラ満点の先生たちは、メッツァビレッジはもちろん、飯能の街も相当気に入ったようですよ!
名門学校のプログラムを継承するのは世界初!
カラフルな色に身を包み、お揃いのマリメッコのエプロンをして現れた3人の女性たち。そう、彼女たちこそが、フィンランドの名門アートスクール「ポルヴォー・アートスクール」からいらっしゃった先生です。左から、校長のLeena(レーナ)先生、アートを教えているIrina(イリナ)先生、Anne(アンネ)先生。3人のお話を紹介する前に、まずは「ポルヴォー・アートスクール」がどんな場所なのかを、少し説明しましょう。
「ポルヴォー・アートスクール」は、今年(2018年)で設立33年目。フィンランドの首都・ヘルシンキ郊外の都市・ポルヴォーにあるフィンランド最大のアートスクールで、ポルヴォー市によって運営されています。1985年に開校して以降、0歳〜19歳を対象に、ビジュアルアート分野の基礎教育を行っています。一般的なアートスクールは5歳程度からプログラムをスタートしますが、「ポルヴォー・アートスクール」の場合はそれが0歳から行われるのが特徴です。
習い事感覚で週1度程度通うのが一般的ですが、日本でいう学童保育のような役割も果たしているので、毎日放課後に訪れる子どもも多くいます。中には、この学校に通わせたいがために、わざわざポルヴォー市に引っ越しする家族もいるとか。それほどまで皆が憧れる、偉大なアートスクールなのです。
メッツァビレッジで行われるワークショップは、本校公認の元、先生たちにより独自に開発・カスタマイズされたプログラム。今までいろいろな国でワークショップを行ってきましたが、名門学校のプログラムを継承するのは世界初とのことです。
「メッツァビレッジは、まるでミニチュアのフィンランド!」
まずは、世界初の試みがメッツァビレッジで実現した経緯について聞いてみました。
「メッツァビレッジは、まるでミニチュアのフィンランドみたいな環境だと思ったの。自然が豊かで静かで。特に森と湖がすぐそばにあるのが、とってもいいと思うわ」(Irina先生)
「それに飯能市は、私達のいるポルヴォーと同じくらいの大きさの街なのよ」(Anne先生)
このように、先生たちはメッツァビレッジのことを大層気に入り、この場で公式プログラムを開始する決断をしたそうです。後ほど別のエピソードでも出てきますが、今回の来日で飯能の街自体も好きになったのだとか!
実際にメッツァビレッジのプレオープン時に行われたワークショップでは、3人の先生たちが日本に住んでいる子どもたちを対象に、レッスンを行いました。
「日本の子どもたちの様子を見ることができて、すごく楽しかったわ。でもね“日本だからこう”みたいな区別はないの。今までいろんな国でワークショップを行ってきたけど、子どもはどこの国でも基本的には同じ。学校に入ってしまうとカリキュラムの問題でその国の特性が出てしまうけど、就学前の子どもは特に、あらゆることに興味を持っていて、オープンマインド。見たことをそのまま口に出して素直に表現できる、素晴らしい存在なのよ」(Irina先生)
就学前からアートに触れられる環境を作る、実はこれこそが「ポルヴォー・アートスクール」設立の想いだったのです。
アートは人生を豊かにしてくれるもの
校長のLeena先生はこう話してくれました。
「私は昔、中学校で美術を教えていたことがあるんだけど、それでは遅いと感じたの。だから、もっと小さな子どもたちのためにアートスクールを作りたいと思って、ポルヴォー市と協力して『ポルヴォー・アートスクール』を立ち上げたんです。
今では、『ポルヴォー・アートスクール』で学んだ子が親になって、その子どもがまたここに通ってくれる状況になったわ。家族単位でアートに触れることによって共通言語が生まれているんです。今まで学校が続いていることがすごく嬉しいし、こうやって才能ある先生と一緒に活動できていることを、とても幸せに思うわ」(Leena先生)
0歳からアートに触れた場合、どんな良い影響があるのでしょうか。
「私たちは、アートによって人生が豊かになると考えているの。アートに触れるのが幼ければ幼いほど、豊かな人生の時間が長くなるでしょ。それがどんどん人生の一部になっていくと思うんです」(Irina先生)
「そうね。幼いときから始めておくと、気づきが多くなったり、周りのことが見えるようになるわ。それに、自分とは違う考え方を学べるというのも、いい点だと思います」(Anne先生)
実は、メッツァビレッジで行われるワークショップの対象年齢は1歳〜3歳!これを決定したのも、なるべく幼いうちからアートに触れる機会を持って欲しいという「ポルヴォー・アートスクール」の想いがあってのことなのです。無限の可能性を秘めた子どもたちがどのようにアートと触れ合うのか、先生たちも楽しみにしている様子。
「今後のメッツァビレッジでのプログラムは、アートの基本である“カラーベーシック”を中心に、さまざまな方法や技術を使ってプログラムを立てていく予定です。フィンランド式の教育システムを、子どもたちが楽しんで体験してくれると嬉しいわ」(Irina先生)
「アートに触れることで、人生の彩りまで学んでほしい」
ところで今回の日本滞在で先生たちは、メッツァビレッジを中心に飯能の街も存分に楽しんだようです。
「私は何度も日本に来たことがあるけど、今回初めて祭り(飯能祭り)を見たの!朝6時にお囃子で目が覚めたのも、はじめての体験だったわ。宮沢湖温泉で熱い石の上に室内着を着たまま横になったのも面白かった。ガンバンヨク(岩盤浴)っていうのよね! フィンランド人はいつもサウナに入っているけど、基本はいつも裸だから、すごく不思議な感覚だったわ(笑)」(Anne先生)
「メッツァビレッジから、ムーミンバレーパークの方へ1周散歩をしてきたの。敷地の外へ出て、地元の人しかいないラーメン店に行ったのがいい思い出。そのお店は自販機でチケットを買うシステムだったんだけど、そういうのはフィンランドにないから、すごくユニークだと思ったわ(笑)」(Irina先生)
いろんな初体験をした先生たちは、満面の笑みで楽しかった思い出を語ってくれました。
「体験や経験、それに幸せだと思うことが一番大事。作ったものや結果よりも、授業を通してアイディアやインスピレーションを見つけたり、違いを楽しむことを学んで欲しいわ。もちろん色彩の基礎をきちんと学ぶことも必要だけど、アートに触れることで人生の彩りまでも学んでもらえると嬉しいです」(Anne先生)
今後のスケジュールは、メッツァのオフィシャルホームページにて発表される予定なので、ぜひチェックしてみてください。
取材・文 河辺さや香
写真 末松千夏
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