「ムーミンバレーパークのAto Z」【F】Flower 花
ムーミン公式サイトにて、ムーミンバレーパークのちょっとディープな情報を、AからZまでのキーワードにして、アルファベット順にご紹介していく「ムーミンバレーパークのA to Z」。
今回の【F】は、パークの中で、実は一番頻繁に入れ替わっている「隠れアトラクション」的存在ともいえる花(Flower)についてご紹介します。
ムーミンのイラストは、キャラクターが描かれるとき、キャラクターのみではなく、お花といっしょにいるアートがよくあります。
それくらい、ムーミン谷の仲間たちにとっても、お花が身近にあるものなのだと思います。
パークのコンセプトから
以前、ムーミンバレーパークを作る前に、こんなコンセプトを考えました。
あわただしい毎日の生活の中で、なんだか気持ちがざわついたり、
ふとさびしくなったり、何が大事なのかわからなくなった事はありませんか?
ムーミン一家と個性豊かな仲間たちが暮らすムーミン谷
時には厳しくも ありのままで飾らない自然と、
ありのままの自分にそっと寄りそってくれるムーミン谷の住人たち
ムーミン谷の生活をちょっとのぞいてみてください。
ちょっと勇気を出して 新しい事に挑戦すること
普段は気にも留めない 小さな花や虫を 目を凝らしてみること
季節の変化を お祝いすること
そんな、小さいけれど、大切なことを発見できる場所。
素朴かもしれませんが、季節ごとに発見や気づきを演出してくれているのが、お花や植物、自然の存在です。
パーク内では、四季ごとに、お花の植え替えをしています。
この頻度は、コンテンツの変化が一番あるアトラクションとも言えます。
お花の装飾が、一番変わる頻度が高いアトラクションです、というのも、
なんだかムーミン谷らしくないですか?
どのように決めているかというと、季節ごとにメインビジュアルとカラーを
決めているのですが、その色に合わせて相談しながらお花を選定していて、
パークとしてのトーンを合わせています。
たとえば今年の冬も、メインビジュアルと色に合わせて、冬らしい季節感のお花が登場します!
同じ季節でも、メインビジュアルごとに色味や花を変えているので、
パークで撮った写真でお花が映っているものがあれば、これはいつの時期に撮影したものだな、というのが実はわかるんです。
リピートして来ていただいている方にも、小さいかもしれないけれど変化を楽しんでもらえたり、季節の移り変わりを感じてもらえたり、もちろん、初めて訪れていただいた方にも、自然がいっぱいでお花がきれいな場所だったね、と感じてもらえるように計画しています。
植栽の予算は無限ではないですし、育ったお花を仕入れると費用がかかるので、ときには、世界観を再現するために種から育てて発芽させ、植え替えたりしたときもあります。
また、いちど植えたお花でも、宿根が残っていて、その時期になると出てくるものなどあります。
場所によって土の特性も違いますので、季節を通して、その場所ごとの土性の理解とムーミンたち同様、自然へのリスペクトをもってスタッフは日々お花に触れています。
それに、花や植物はしゃべらないものの、生きものなので水を上げないと枯れてしまいます。
人と同じように、手をかけて世話をしている誰かが存在しているからこそ、
入場料を払って入園いただいたゲストに、きれいなお花を楽しんでもらえる状態を維持できています。
「ムーミン谷らしいかどうか」
ムーミンの原作にも、いろんな種類の花や植物が登場します。
ただ、ムーミン谷の世界というのはファンタジーですし、ムーミン谷をまるまる再現するのは不可能、なので、柔軟に、ムーミンの世界にありそう、という観点で計画をしていることも特筆すべきことです。
例えば、北のエリア特有の白樺は、パークがある埼玉の気候では育ちません。
ちなみに、ベリーは生えています!どこかはあえて「秘密」とさせてください。(ムーミンの物語が生まれたフィンランドでは、教えてしまうと自分の分が採れなくなってしまうので、それぞれ自分だけのきのこやベリースポットを持っていて、それを秘密にしていることが多いんです)
それから、もともとの地形を活かして計画しているので、パーク内やメッツァに、自生している植物も、たくさんあります。
ムーミン谷にないからといってそれをなくすのではなく、その時々の状況に合わせて、受け入れて、さまざまなものが共存していく、というムーミンのお話に通じる理念と同様に、パークの植物たちも一緒に共存しています。
昼に咲いて、夜につぼみが閉じる花があったり、
憂鬱と思われがちな雨でも、思いがけない美しい演出が見られたり、
同じ状態は無く、日々変化していますので、ぜひ、実際にパークに足を運んで、その変化を発見していただければと思います。
ムーミンの物語から
ムーミン谷について、こんな描写があります。
「ムーミンたちの住んでいる谷間は、とてもきれいなところです。
そこには、小さな生きものたちがたくさんしあわせにくらしていて、
大きな緑の木々がしげっていました。」
(『ムーミン谷の彗星』)
小さな生きもの、というのもキャラクターたちのことなのか
(ムーミンたちのサイズは小さいので)、
名もなきはい虫のような生きものたちのことなのか、
それよりもさらに小さい虫のようなものなのか、は、
自由にそれぞれ想像していたければと思いますが、
虫なんかはいろんな描写が原作でもされています。
それはもう、不思議な形や、よくわからない形のものまでさまざま。
パークでも、お花があるところに、蝶が遊びにきます。
原作の挿絵さながらの毛虫みたいなものにも出会うこともあるんですが、ご存じの通り、毛虫は蝶になる前身なので、パークにも遊びにきているところを見かけたら、美しくなる前の姿だと思って、そっと見守ってあげてください。
これはほんの一部ですが、いろんな蝶や蛾などの羽をもつ生きものたちが、
遊びにきている様子です。
パークの中で、名前もわからない蝶やその仲間に出会ったときに、
冬に出会ったヘムレンさんが縦横無尽にスキーをする姿を見て、
ムーミントロールが思ったことと同じ言葉をいつも思い出します。
「みんなそれぞれ、こうもちがうものなんだな」(『ムーミン谷の冬』)
みなさんがパークに訪れたときの発見や気づきは、なんでしたか?
ムーミンバレーパークのAtoZ に関しては、こちら(↓)をご覧ください
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株式会社ムーミン物語
川崎 亜利沙
(text by Arisa Kawasaki, Moomin Monogatari ltd.)