見出し画像

ビジネスマンの人生を激変させた、フィンランドの国民的コーヒー

ロバーツコーヒー in ヴァイキングホール

#メッツァビレッジの住人 第6回は、「ロバーツコーヒー」です。あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、実はこのフィンランドを代表する国民的コーヒーブランドは、福岡市でカフェを2店舗営業しています。初の関東圏進出という準備に追われる中、総代理店会社の代表・熊谷さんに「ロバーツコーヒー」についていろいろと教えていただきました。

「僕の人生、このコーヒーで変わっちゃったんです(笑)」

ちょうど10年前のある日、サラリーマンだった株式会社ラクシアトレードの社長・熊谷光修さんは、フィンランドのお土産としてもらった缶入りのコーヒー豆を手にします。その蓋を開けた瞬間、衝撃が走ったのだそうです。

「まず、なんていい香りだろう、と思いましたね。飲んでみると、味に立体感があって広がりがあるんです。そしてだんだん表情が変わっていきました。そこそこ酸味を感じるのに、1本芯が通っているような気がして、とにかく感動したのを覚えています」

一目惚れならぬ、“一口惚れ”状態だった熊谷さんは、日本で購入できる場所はないかと探し回りますが、どうにも見当たりません。そこでフィンランドの「ロバーツコーヒー」本社に連絡をしたところ、やはり日本では販売されていませんでした。
「自分でやらなきゃ」と思い立った熊谷さんは、ご自身で日本に「ロバーツコーヒー」を輸入する会社を立ち上げ、勤めていた会社を辞めてしまったのです。

「あのときのコーヒーで、人生ガラッと変わっちゃいましたね(笑)」

そうはにかむ熊谷さんからは、「ロバーツコーヒー」への愛がひしひしと伝わってきます。バリバリのビジネスマンが1杯のコーヒーに恋をして、そして自分の人生を捧げてしまうとは! そこまで衝撃だっという「ロバーツコーヒー」とは一体どんなものなのでしょう。

歴史があるのに気取らないのが、ロバーツコーヒー

ロバーツコーヒーは、北欧の国・フィンランドを代表する国民的なコーヒーブランドです。1987年に国内で初めて焙煎所付きのカフェを始めて以来、首都ヘルシンキを中心にフィンランド国内に約40店舗を構えています。今やフィンランドだけでなく、隣国のスウェーデンやエストニア、トルコ、さらには日本にも進出。福岡にある日本の2店舗は、フランチャイズのオーナーの元で運営されています。

「なんで福岡に?って思うでしょう。私もオーナーも福岡にいるから、というのが直接的な理由ですが、フィンランドと福岡には共通点があるんですよ。まず、フィンランド共和国全体の人口と福岡県の人口が同じくらいなんです。福岡の街って天神や博多辺りは賑やかですが、その他は割とのんびりしていて田舎なんですよね。南の方に行くとフルーツの生産が盛んだし、都市部は海に面しているし。ちょっとフィンランドの首都・ヘルシンキに似ているかな、って思うんです(笑)。まあこれはネタなんですけど」

福岡をフィンランドと似た環境だと捉えていたからこそ、熊谷さんは「例えば他の都市部のアーケード街にポンッと出店するのは、イメージと違うと思っていた」とか。そこに舞い込んできた「メッツァビレッジ」の話に、「絶対に出店しなきゃ」と奮い立ったそうです。

「『メッツァビレッジ』は湖に面していて、とにかく気持ちがいい場所なんです。それに、北欧をテーマにした施設と聞いて、なおさらそこに『ロバーツコーヒー』がなきゃだめだろうと」

もちろん、コーヒーの質や美味しさにも絶対的な自信を持っています。

「『ロバーツコーヒー』の創始者・ロバート氏は自分の農園をブラジルナイジェリアに持っています。そして、コーヒーの品質に対しては昔からものすごくこだわりがあったんです。代々続くコーヒーの家系で、1700年代のご先祖にはフィンランドで最初にコーヒーの焙煎をした人で、実は当時のヘルシンキ市長でした。そんな脈々と受け継がれるコーヒーの系譜があるにも関わらず、コーヒー自体は至ってカジュアルなんです。それは、毎日飲める“飲みやすさ”を重視しているから。フィンランドって、実は世界一コーヒーの消費量が多い国で、みんな1日7、8杯くらい飲むんですよ。
コーヒーはシングルオリジンではなく全てブレンドです。もちろんどのブレンドにもきちんとしたストーリーがありますが、それを決して押し付けることなく、あくまでも飲む人に委ねています。尖ってなくて、気軽で、カジュアルなもの。それが『ロバーツコーヒー』の良さですね」

『ロバーツコーヒー』のカフェが、もう1つのリビングルームになってくれたら

熊谷さんがフィンランドの「ロバーツコーヒー」で見たのは、老若男女問わず、思い思いの時間を過ごす光景でした。

「おじいちゃんとおばあちゃんが仲良く2時間くらいコーヒーを飲んでいる横で、ビジネスマンが仕事していたり、高校生が笑っていたり、ベビーカーを持ったお母さんたちが3人位集まっていたり。そういうのが同時に1つの空間で行われていたんです。『ロバーツコーヒー』はみんながゆっくり過ごせる場所っていう認識がフィンランド人にはあるんですよね。実は空間づくりのコンセプトに、“リビングルーム”っていう言葉を使っています。
『メッツァビレッジ』の店舗も、訪れる人にとってもう1つのリビングルームになればいいなあと思います。そして、コーヒーがあることによって、ちょっとでもいい時間になれば最高ですね」

新店舗にはフィンランドの「ロバーツコーヒー」でトレーニングを積んだバリスタの吉村貴達さん(写真下)がお店に立つ予定だとか。焼き立てのシナモンロールが香る本場の雰囲気と極上のコーヒーで、「メッツァビレッジ」にフィンランドの風を吹き込んでくれることでしょう。

取材・文/河辺さや香
写真/今村成明


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?