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「命」に感謝して、持ち帰る夏の一日(夏休み自由研究企画/昆虫標本づくりレポート)

メッツァビレッジで定期開催している自然観察イベント。
昨年度から、夏休みの時期にあわせて、お子さまの自由研究のお助け企画を開催しています。
今年の『メッツァビレッジで昆虫の標本づくり!イベントは過去最多人数の参加!
本や写真ではなく実際にたくさんの生きものたちに出会い、その命をいただき、持ち帰って記録することについて体験する機会となりました。



出会いたい生きものと、実際に出会う生きものは同じ?

まずは、一日のスケジュール説明と自己紹介。
午前は2つのエリアで昆虫を採取し、午後は室内で標本作りをします。
名前・どこから来たか・どんな生きものが好きか・何の標本を作りたいかを、お互いに聞きあいます。
クワガタの標本を作りたい!クモがかっこいい!チョウチョを捕まえたい!など、意気込みを聞いていると、ワクワクが伝わってきます。

まずは湖面沿いの堤防エリアに向かい、昆虫を探します。

見晴らしと風通しがよく、草花が生えているここは、チョウチョトンボが多いエリア。みなさん、昆虫を見つけると目を輝かせ、暑さをものともせず走っていきます。ここでは、アゲハチョウ、ツマグロヒョウモン、オンブバッタ、シオカラトンボなどを捕まえることができました。

次は丘の上のエリア。
高い木や日陰が多いこのエリアでは、さまざまな種類のセミや、タマムシコガネムシなどの甲虫の仲間を見ることができます。
トカゲ好きの男の子が、ニホントカゲを発見!すばしっこかったですが、協力してはさみうちにしてようやく捕まえました。

標本にしない生きものは、観察したら逃がします。

堤防の奥の森のエリアに行けばカブトムシコクワガタも生息していますが、この日は時間と暑さのため断念。
先生が事前に捕まえたカブトムシやクワガタをみんなのために準備をしてくれました。

標本づくりのコツ

参加者の皆さんがお昼を食べている間に、先生たちが標本づくりの準備を進めます。
密閉できるプラスチック容器に、酢酸エチル(ご家庭の場合は除光液でも代用可能)を染み込ませたティッシュと昆虫を一緒に入れ、揮発した空気で締めます。

先生の説明を聞きながら、まずは甲虫標本を作ります。
まず、発泡スチロールのボードの上に昆虫を置き、虫ピンという細い針を体の中央より少し右に刺します。

なぜ中央ではないかというと、「左右にある器官は二つですが、中央にはひとつしか無い器官が多くあるからそれを避けるためだよ」と先生が教えてくれました。

虫の体に垂直になるように刺せたら、今度は脚や触覚を調整します。
まち針は体に直接刺さず、関節を引っ掛けて両側から挟むようなイメージ。ツノを持ち上げた形になるようにまち針を2本使って下から支えたり、体の下に隠れている横足を左右対称になるようにピンセットで細かく整えたり。トンボの羽も、破れてしまわないように注意深く、色々な角度から確認しながら、黙々と作業を進めていきます。

チョウチョやセミの羽を広げた標本を作るときは、5ミリの厚さのスチレンボードを体の横に置き、トレーシングペーパーで上から挟みながら、羽根の角度を調整します。


標本とは、昆虫の命をもらった感謝を記録すること

昆虫の正式な名前と採取した日付と場所、採取者の名前をラベルに記入することで、初めて正式な標本になります。
虫に合わせたとても小さなラベルに文字を書きこむのは大変ですが、「しっかりと記録を残して、命をもらった昆虫に感謝の気持ちを忘れずに、大切にしよう」と先生は話します。

針を刺したまま持ち帰り、2週間ほど乾燥させてから、まち針を外して完成!
夏休みの終わるちょうど今頃には、みなさんのお家で出来上がっているはずです。

また、参加者の皆さんには、昆虫標本の作り方の冊子を先生からプレゼント。
今回のやり方でお家でも作れるので、ぜひやってみてね、とのこと。
はじめに緊張していた子も、生きもの博士である先生たちに色々教えてもらううちにすっかり打ち解け、最後にはハイタッチをして帰っていく姿を見て、私たちもうれしくなります。

メッツァビレッジで定期開催している自然観察イベント。
次は音を操る昆虫をテーマに、秋の昆虫観察をします。

詳細・お申し込みはこちらから!

共催:森のフィールド学舎(モリマナ)

文・写真:吉田彩恵子、川﨑亜利沙

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