大切にしたいことは、変えたくない。女性目線で作ったレストラン「LAGOM」
メッツァビレッジの住人・第20回は、施設内にあるレストランのなかでも一番の広さを誇るスモーブロー専門レストラン「LAGOM(ラーゴム)」と屋外レストラン「UTEPILS(ウーテピルス)」をご紹介します。メッツァビレッジの運営会社、ムーミン物語の飲食部門でマネージャーを務める小林由美子さんにお話を聞きました。
「女性に響く、シビれるようなお店」その一言で決意しました
「入社前はオーガニック食材を使ったアイシングクッキーとケーキの制作・販売、毎週日曜日にオープンする『サンデーカフェ』を開催するフリーランスとして働いていました。メッツァビレッジに関わることになったのは、既にメッツァで働いていた友人から誘われたのが切っ掛けです。
『20~40代の女性をターゲットにした、女性がシビれる感じのお店を作ってほしい』と言われて、これだっ!てピンときたんです」(小林さん)
小林さんは、都内でお子さんを育てている母親でもあります。これまでの経験と小林さんのライフスタイルが、レストランづくりに活かされています。
「私が入社した8月は『UTEPILS』の方はある程度コンセプトが固まっていましたが『LAGOM』は、まったくのスケルトン状態でした。ビュッフェという案も出ていたのですが、ここまできて食べ放題って……。ちょっと悲しいですよね。なので、やめたんです。
ボリュームや安さではなく、おいしさや体験を伝えたい。ふだんは子育てや仕事で忙しい人も『LAGOM』では心地よく過ごしてもらいたい。そう考えて、女性が好きなものを集めました」(小林さん)
自分にとってちょうどいいものを探してほしい
「LAGOM」とは、スウェーデン語で「ちょうどいい」という意味。自分にとって“ちょうどいい”バランスを見つけるという考え方は、お店のインテリアやメニューにも取り入れられています。
「インテリアは『IKEA』さんにご協力いただきました(※)。ソファーでゆったりくつろげるローテーブル席や半個室、宮沢湖に面したカウンター席、コーナーによって変わるカラフルな壁など、シチュエーションや気分に合わせて席が選べるようになっています。
でも、やっぱり一番の素晴らしさは、窓から広がる景色につきますね。ここは本当に自然の一等地だと思います」(小林さん)
「レストランの看板メニューのスモーブローとは、デンマーク名物のオープンサンドイッチで、パンの上にたっぷりと食材が乗っているのが特徴です。
サーモンは定番でお出ししていますが、季節によってはもちろん、1日に何度も種類が変わるので、楽しんでいただけると思います」(小林さん)
料理と合わせてこだわったのが、オリジナルのランチボックスです。
「テイクアウトが厳しいこともあって、日本のレストランでは包材文化というのがあまりないのですが、海外ではショップオリジナルの包材が欲しくて行く人もいるほど包材にも気を使っています。
『LAGOM BOX』は、スモーブローとスープ、ポテト、ドリンクをセットにして専用のランチボックスに入れて提供しています。
『LAGOM』でのんびりとお食事を楽しんでいただくのはもちろん、ちょっと気分を変えたいなと感じたらボックスを持って『UTEPILS』へ移動するこができます。自分が気持ちいいいと感じる空間で楽しんでいただきたいですね」(小林さん)
「単品メニューやソフトクリームやシナモンロールなどのスイーツもたくさんご用意しております。北欧のメニューは、どんどん増やしていきたいですね。
コーヒーマシンも最上位機種を入れています。宮沢湖を眺めるカフェとして、のんびりした時間を楽しんでいただくこともおすすめです」(小林さん)
北欧好きにはたまらない限定メニューも!
「フィンランド人のパン職人さんご夫婦が鎌倉で営んでいる『ライ麦ハウスベーカリー』のカレリアンピーラッカも数量限定で販売しています。
遠方からも人が通いつめる人気のお店なのですが、メッツァビレッジのコンセプトに共感していただき、実現することができました。こうしたつながりも大切にしていきたいです」(小林さん)
コンセプトとインスピレーションを大切にしたい
「メッツァビレッジにいらっしゃる方は、良いものを求めて来ている方々だと感じています。この先『ムーミンバレーパーク』がオープンして、どんどん忙しくなると思いますが、お客さんが増えた分は席数を増やして回転を優先する。というふうにはしたくないですね。
メッツァビレッジは北欧のライフスタイルを体験する場所なので『余白と暮らす』というコンセプトはブレずに守っていきたいものです。
もうひとつ大切にしたいのが、インスピレーションです。
人が何かを感じるときに、ちょっと考るという時間はないと思うんです。私がここで働こうと思ったのも、このコンセプトがいいなと感じたから、ふたつ返事でした。
『LAGOM』にいらっしゃったお客さんにも、席に着いた瞬間に『あ、かわいい! 誰かに伝えたい!!』と、一瞬で行動に移せるようなインパクトを与えたい。そしてみんなにこの良さを発信していただけるようなお店にしていきたいです」(小林さん)
(後編へつづく)
取材・文/美濃羽佐智子
写真/末松千夏
※レストランで使われているIKEAの家具にはバーコードが付いており、サイト経由で商品を購入することができる
※ メニューなどの内容は取材を行った当時(2018年11月9日)の内容となり、季節等により内容や価格が変更となる場合かあります。