見出し画像

「ムーミンバレーパークのAto Z」【P】Paja(ワークショップ)

ムーミンバレーパークのちょっとディープな情報を、AからZまでのキーワードにして、アルファベット順にご紹介していく「ムーミンバレーパークのA to Z」

【P】Paja(ワークショップ)
Paja(パヤ)は、フィンランド語で、そのまま、ワークショップの意味です。(パジャ、ではなく、jaは、フィンランド語では、ヤの発音になりますので、「パヤ」と読みます)

画像1

豊かな自然の中にありながらも、ミュージアム要素の展示施設などもあるムーミンバレーパークは、単純な「テーマパーク」というわけでもなく、ムーミンをテーマにしている場所ではあるものの、既存の「テーマパーク」という概念にとらわれない場所として、施設全体がすべてを包括する「森=メッツァ」という名称がついています。

ジェットコースターやアトラクションがたくさんあるテーマパークは大人数で来てワイワイすることが楽しみかもしれませんが、ムーミンバレーパークは、自然の中でのんびりと過ごし、ムーミンの物語を知ることで、知的好奇心が刺激されたり、自分の内面とも向き合うきっかけを提供する、ということを大切にしている場所です。

その中で、「ワークショップ」というのは、ある程度時間をかけてじっくりと創作に取り組める(=自分のことを知る)ことができる、とてもムーミンバレーパークらしい場所とも言えます。

ムーミンの作者が生まれた北欧のいろんな美術館には、ワークショップのスペースがあることがよくあります。それも、モチーフの1つです。

作品やアートを見た後に、何を感じるのか。
そして、そのとき感じた感情をものづくりにして、思い出に持ち帰ることができること。
完成されたお土産(商品)を買うのではなく、自分で作る、という行為は、とってもクリエイティブです。
パークでワークショップを体験することで、実際につくることの楽しさや難しさを通して、「ムーミン」を創作し、いろいろな表現をしてきたトーベの才能や偉大さ、なんてものにも改めて気づくこともあるかもしれません。

そうそう、フィンランドのムーミン美術館にも、トーベの絵画の所蔵があるヘルシンキアートミュージアムにも、ワークショップのスペースがあるんですよ。


デザインコンセプトは、「みんなが集まるムーミンパパの作業場」

パヤの入口には、ムーミンパパが手回しドリルで作業をしているアートがあります。

これは、『ムーミン谷の夏まつり』で、洪水で水に沈んでしまったムーミンやしきの1階を、ムーミンパパが「自分の家をゆかからだけじゃなく、たまには天井からながめるべきじゃないかって」と言って、手まわしのドリルとのこぎりで、2階の床に穴を開けているシーンのものですが、ムーミンパパが自分で作った家を、自ら床に穴を開ける、というのは、どのような気持ちだったのでしょう。
ムーミンパパの言葉を借りると、少しばかり怖かったけど、深い満足も覚えた、とのこと。

そんな、挑戦するドキドキ感と満足感を同時に体験できる気持ちを踏襲したムーミンパパの作業場を感じられるようなパヤの入り口で、手まわしドリルを使って満足げに作業しているムーミンパパがお出迎えした先には、白を基調とした明るく開放的な空間。
「ここで何をつくれるのだろう?」と、自然とワクワクした気持ちになっていただくことや、作業場には、自由に使える大きなテーブルと、チャレンジを意味する赤色のチェアがあって、ものづくりに必要な道具も用意されています。
(パヤのチェア(椅子)に関しては、以前のキーワード【C】chair でもご紹介しています)
室内のアートは、ムーミン谷の仲間たちが、パパの作業場の壁を思い思いにペンキで塗っている様子をイメージした空間で、それぞれ、コミックスを中心に、いろいろなシーンから登場してもらっています。そういったアートを見つけていただくのも、楽しみの1つです。

ここでは、キャラクターよりも完成した作品が主役なので、作品を壁に飾ることもあるかと思い、キャラクターはシルエットで表現しています。色は、さまざまな検討を経て、作品を邪魔しない・作品が引き立つような薄いグリーン系の色を使用しました。

こだわりは、各キャラクターの性格を表しているような壁のペンキの塗り方の表現です!

「ムーミン」の世界観は、自分たちでつくる、つくることを楽しむ、それぞれがやりたいことをする、というのが中心なので、それが伝わるようなアートと、シンプルで機能的でありつつも、アクセントカラーが入るような北欧デザインを意識した空間が、ここパヤ。

パヤでは、鍵がない開かれたムーミンやしきのように、子どもから大人まで誰でも気軽に楽しめるいろんな創作体験を、パークでの思い出とともに持ち帰っていただけるメニューで、いつでもみなさんをお待ちしています。

ちょうど、今月からはじまった「ムーミンバレーパークのハーベスト」でも、芸術の秋を楽しめるワークショップづくしの「ワークショップウイークエンド」も開催中です。


ムーミンバレーパークのAtoZ に関しては、こちら(↓)をご覧ください

―――

株式会社ムーミン物語
川崎 亜利沙
(text by Arisa Kawasaki, Moomin Monogatari ltd.)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?