森と湖があるメッツァだからできた「SOPIVA」初の実店舗
SOPIVA HOKUOU in マーケットホール
メッツァビレッジの住人・第17回は、マーケットホールの2階にある輸入雑貨のセレクトショップ「SOPIVA HOKUOU(ソピバ・ホクオウ)についてです。運営しているメンバーの方々は、実際にフィンランドやスウェーデンに暮らしている日本人女性。お店が掲げている“ほんものの北欧”にこだわるベースは、実はそこにあります。今回は日本のオフィスにいらっしゃる岩崎十三さん(写真下)が、おもしろエピソードをあれこれお話してくださいました。
自分が気づかなかった “ぴったり、ちょうどいい”と出会えるかも!?
「SOPIVA」はフィンランド語で「ぴったり、ちょうどいい」という意味。それぞれが自分の「ちょうどよい」を見つけてくれるようにと願って、店名にしたそうです。もともとは、北欧在住者が中心となって今年(2018年)3月に始めた北欧雑貨のネットショップですが、このほどメッツァビレッジに初の実店舗をオープンしました。
「最初、メッツァが飯能にできるって聞いたときは正直驚いたんです。都心からちょっと離れているでしょう。だからその……、勇気あるなあって(笑)。でも、結果僕たちは、この場所だから出店したと言っても過言ではないですね」(岩崎さん)
「SOPIVA」が扱うアイテムたちと、メッツァの環境には共通点があるのだとか。
「僕たちが扱っているアイテムは、フィンランドやスウェーデンの豊かな自然に対するリスペクトが詰まっています。ECOだったり、LOHASだったり、ブランド自体がそういうコンセプトを掲げてやっているところばかりで、自然との協調性を大切にしているんです。それを、ここ(メッツァ)だったら表現できるだろうと思いました。
スウェーデンでもフィンランドでも、自然が生活の一部、彼らの体の一部なんです。自然をないがしろにしたらすべてが終わってしまうという気持ちで暮らしているんですよね。北欧在住のスタッフも僕もそういうところに魅力を感じています」(岩崎さん)
北欧初心者も北欧マニアも、みんなウェルカム!
「SOPIVA」の運営に携わるフィンランド在住のあおいさん、スウェーデン在住のようこさんは、共に現地で暮らしながら日々北欧の良さを発信しています。そして、そんなお二人の目利きで選ばれた北欧アイテムはなかなか他では見当たらないものも多く、北欧マニアも喜ぶラインナップです。
例えば、メッツァに出店するきっかけにもなったという「カムトゥーフィンランド社」のポスター。ほとんどの方が初めて目にするものですが、ある日、北欧にとても詳しいお客さんと30分も会話が弾んだとか。
「すごく詳しい方がいらっしゃって驚きましたね。そういう方がうちを訪ねてくださって、心からお店をやっていてよかった、と思いました。
以前からうちの会社で取扱いをしていたこの『カムトゥーフィンランド社』のポスターは、フィンランドを世界中にアピールするために1890年〜1960年の間に作られたものなんです。FINLANDって大きく描かれているから、見たままでフィンランドのものだって分かるでしょう。だから、フィンランドと北欧をテーマにしているメッツァに飾ったらすごく合うんじゃないかって、前から考えていました。もっと言うと、このポスターを取り扱っていたからメッツァに出店しようと思ったんです」(岩崎さん)
「多くの人が北欧に興味をもつきっかけを作りたいと願う反面、本当に北欧が好きで詳しい方の期待にも答えたい」と岩崎さん。ポスターにまつわるお客さんとのやりとりで、手応えを掴んだようでした。
そして、“ほんものの北欧”にこだわりつつも、あくまで日本のお客さんに合ったものを届けたいと強調します。
「時々現地の日本人スタッフから、ちょっとこれは…って思うものを推されたりするんですよ(笑)。例えば日本の家庭には大きすぎるラウンドトレーとか。『現地ではとにかく大人気だから絶対売れるよ』って自信満々に言ってくるんですよね。いろんな文化の違いを知ることができて楽しいんですけど(笑)。
でも、彼女たちが選ぶ商品をなるべくいっぱい入れてあげたい、とも思うんです。そこから北欧のライフスタイルを伝えていけたらいいですね。北欧の人々は、とにかく考え方やスタイルがとってもシンプル。そんな姿勢が今の日本にも必要なんじゃないかって、個人的に思っています」(岩崎さん)
“みんなが幸せになってほしい”という強い願いから生み出されるもの
「SOPIVA」のネットショップが立ち上がったのは今年3月のことですが、岩崎さんやスウェーデンにいるようこさんは、既に10年以上北欧関係の仕事に携わっています。いろいろなものを見てきた岩崎さんは、フィンランドやスウェーデンの作家さんや消費者たちについて、こう話してくれました。
「とにかくこだわりが強いんです。こだわり方も日本と違いますね。まず根底に、みんなが幸せになってほしいという強い願いがあるんです。
今の世の中は、いかに安く大量に作るかということに着目されがちでしょう。安く買った人は、“安かった!ラッキー!”と思いますよね。そこから先はあまり考えないと思います。でも北欧の人たちは、安い原因を考えるんです。“こんなに安いってことは、一体どれだけ苦労して作ったんだろう。きっと賃金も環境も悪いはずだ”と。安く買ったとしても過程が不幸だったとしたら、その結果を身に着けている自分もどんどん不幸になってしまう。そう彼らは思うんです。最初にこの話をされた時は、正直ぽかーんとしてしまいましたが、偉いなあって思いましたね」(岩崎さん)
“みんなが幸せになってほしい”という想いの元で作られたもので、例えば「MYSSY(ミッシイ)」のニットキャップがあります。ちょっと見たところでは“きれいな色合いのニットキャップ”という印象ですが、実は一から十までこだわり抜いた手作りの品。300年続く羊農場の毛を使って、“ミッシイグランマ”と呼ばれる地元のおばあちゃんたちが、幸せな気分でひと針ごと手で編んでいるのだとか。それなりのお値段ですが、油分をあえて少し残して洗うハンドウォッシュ製法や草木染め、100%天然素材と、隅々まで徹底した結果。エシカルで価値あるニットキャップは、今や世界中から注目されています。
「とにかく、心から楽しんでもらいたい。そういうものを置くのが、うちの使命だと思っています」と岩崎さん。お店では、それぞれの商品に対する背景を、わかりやすく日本語で知ることができます。自分にぴったりなもの、ずっと大切にしたいものを見つけに訪れてみてはいかがでしょうか。
取材・文 河辺さや香
写真 藤井篤志