エリアでいちばん多く“北欧雑貨”が集まる場所
メッツァビレッジの住人・第22回は、マーケットホールの2階にある北欧雑貨です。大人気のマリメッコやイッタラ、フィンレイソン、そしてフィンランドを代表するお菓子メーカーのファッツェルまで!北欧初心者でも手に取りやすいアイテムが勢揃いしています。もちろん連日盛況ですが、こんなに受け入れられるとは、少し前まで想像していなかったようですよ!
人気サイト「北欧雑貨」の実店舗が生まれるまで
北欧から直輸入のデザイン雑貨、インテリア雑貨などを販売する人気サイト・「北欧雑貨」。初の実店舗となる「北欧雑貨メッツァ店」は、メッツァビレッジのオープンと共に誕生しました。今回は、サイトを運営している株式会社ピーオーエスの取締役で、メッツァの顧問でもある苅田一郎さんと、北欧雑貨ストアマネージャーの加藤麻由子さんにお話を聞きました。
まずは今まで実店舗を持たなかった理由について尋ねてみました。
「POSはもともと輸入業者であり、卸売の会社なので、関わっていた取引先さまや小売店さまとのコラボレーションを大切にしてきました。今まで実店舗を出さなかったのは、それが一番大きな理由ですね。でも、取引先さまや生活者のみなさまとの接点を持つ場として、ショールーム機能のある直営店は作りたかったんです。取引先さまやお客さまのニーズに合わせて良いものを仕入れたいですから」(苅田さん)
その第一号店がメッツァであることは、もはや必然だったそう。
「まず海外の各ブランドの社長さんとお会いして感じたのですが、彼らのメッツァに対する期待値がとても高かったんです。そして、北欧の文化や商品を紹介するテーマパークが日本に新しくできることって、近年ではメッツァが最後になるかもしれないと感じておりました。だから、私としてはメッツァに対する特別な想いがあります」(苅田さん)
苅田さんは、20年以上も前から北欧関連の事業に携わっている第一人者。映画『かもめ食堂』(2006年)のヒット以降“北欧ブーム”が到来し、今でこそ北欧ブランドは日本でも知名度があります。しかし「売れなかった時代を知っている」と話す苅田さんにとっては、連日の盛況ぶりは“奇跡”のようだとか。
もちろんこの“奇跡”を生んだのも、お客さまの期待に応えたからこそ。「北欧雑貨メッツァ店」は、エリアでいちばん多く“北欧雑貨”が集まる売り場になりました。
「ファッツェル、マリメッコ、フィンレイソン、イッタラ(※)。フィンランドと言ったら、これらのブランドは絶対になくてはならないですよね。有名ブランドの直営店以外に置かせてもらうよう説得するのが、実はとても大変でした。フィンランド大使館の強力なバックアップがあったおかげで、良い形で実現できたと思います」(苅田さん)
「北欧雑貨メッツァ店」ならではのラインナップにワクワク!
「北欧雑貨」のサイトでは、常時約4000という多くのアイテムを取り扱っています。それらを管理する立場にある加藤さんはこんな風に話してくれました。
「もちろん北欧だから何でもかんでも、というわけじゃなく、きちんとコンセプトを立ててセレクトしています。今まではこちらが常に海外のサプライヤー情報を集めていたのが、メッツァに出店したことで、逆に海外からたくさんの問い合わせをいただくようになりました。実際に現地に行ったときも、ものすごく注目度が高かったですし。ありがたい状況ですよね」(加藤さん)
もちろん直営店ができたことで、商品のラインナップにも変化が生まれました
「自分たちのお店のために買いつけることが今までなかったので、変化は大きかったですね。お店に出したらすぐにお客さまの反応がわかるし、それをタイムリーに現地に伝えられるから、良い循環ができていると思います」(苅田さん)
「そうなんです。どういうものを置いたら喜んでもらえるだろうと悩みながら選びました」(加藤さん)
加藤さんはメッツァ店のためのアイテムを見つけるべく、実際に現地へ飛びました。その中で選んだアイテムを、いくつか紹介してくれました。
《HIPPSTORY(ヒップストーリー)》 スウェーデン
「日本初上陸のジュエリーブランドです。スウェーデン人のデザイナー・ジュリアが、一つ一つ丁寧に手作りしています。特徴としては、スウェーデンのバーチ(白樺)材と金属など、異素材を組み合わせている点ですね。バーチは加工がしやすいので、彼女お得意のグラフィックもプリントがしやすいんだそうです」
《BOM UNITED (ボムユナイテッド)》 スウェーデン
「スウェーデンを代表するクリエーター・Maria Holmer Dahlgrenによるキッチンタオルのブランドです。スウェーデンの文化をイラストや文字で紹介しています。北欧雑貨のテーマの1つが、北欧の文化を紹介することなので、それを叶えてくれる商品だと思います。料理のレシピや生活の知恵などが描かれています。すごくユーモラスな言い回しがされているので、スウェーデン語がわかる方は、特に面白いと思いますよ」
《Nordic Gifts (ノルディックギフト)》 エストニア
「森林資源が豊富なエストニアの工房で手作りされている木製のお人形ブランドです。バイキングや民族衣装を着た女の子など、北欧の文化からインスピレーションを受けたかわいらしい人形たちが揃っています。このメーカーのお人形は、目の表情がかわいいんです。国旗を持っている子たちが人気ですね。お土産にぜひ!」
日本では「北欧雑貨メッツァ店」でしか買うことができないファッツェルのチョコレートは、なんとメッツァ限定品も!すぐに売り切れるほど人気だということなので、見つけたら要チェックです。
メッツァには、いろんなお客さんが集まれる受け皿がある
他にも実店舗を持ったことで新たな発見がありました。特に、お客さまとのコミュニケーションにおいては、感動の連続だとか。
「『北欧ってどんな国なの?』って聞いてくる方もいらっしゃれば、北欧が大好きでフィンランド語を勉強している方まで様々なお客さまが来店してくれます。
おすすめの観光地について話したり、それぞれの想いを語ったりと、お店自体が情報交換の場だったりもするんです。こんなに北欧の話ができる場所ってあまりないと思うので、素敵な時間を過ごせていますね。直にご要望やヒントをいただけるのもありがたいです。静かで穏やかで、きれいなメッツァには、あらゆる方々が集まれる受け皿があるんだなあと実感しています(加藤さん)
試行錯誤の甲斐あって、お店の商品はすぐに品薄になってしまうほどの反響です。でも、初めての実店舗でやりたいことは、まだまだたくさんあるのだとか。
「今は代表的なブランドがほとんどなので、現地でしか見ることのできないものを紹介したいです。今の北欧のカルチャーを、商品やワークショップ、イベントを通してリアルタイムで感じてもらえるようになれば嬉しいですね」(加藤さん)
「海外の作り手と日本の使い手の良い関係をもっとシェアしていきたいですね。今後、多くの国内外の企業さまとうまくコラボレーションできたらと思っています」(苅田さん)
ウェブの世界から飛び出した“北欧雑貨メッツァ店”がこれからどんなことを仕掛けていくのか、楽しみに待つことにしましょう。
取材・文 河辺さや香
写真 末松千夏
※
ファッツェル フィンランドを代表する菓子メーカー。130年近い歴史を持つ
マリメッコ 独創的なプリントと色使いが特徴の、フィンランドのライフスタイルブランド
フィンレイソン フィンランドで最も長い歴史を持つテキスタイルメーカー
イッタラ 食器やインテリアデザインを専門とする、フィンランドのデザイン企業