牧場

美味しいのにはワケがある。埼玉発のNo.1豚肉

SAIBOKU メッツァヴィレッジ店 in マーケットホール

#メッツァビレッジの住人 第5回は、1946年に埼玉県で創業し「サイボクハム」の愛称で親しまれている「SAIBOKU」です。埼玉県日高市にある本店は、年間400万人もの人々が訪れる人気施設。今回は「SAIBOKU」の原点、美味しさの秘密に迫ります。

食と健康を届ける「豚のテーマパーク」

お話を伺いに訪れたのは「SAIBOKU」の本店。企画・広報課の吉田英晃さんに、まずは「SAIBOKU」の歴史について教えていただきました。

「サイボクは、1946年に種豚の牧場経営からスタートしました。当時は自分たちが育てた豚を市場に持って行って販売していましたが、市場価格によって豚肉の値段は変動してしまうんです。自分たちの育てた豚には自信もあるし、何より愛情を込めて育てているわけですから、悔しいですよね。それならば、自分たちの手で「ゴールデンポーク」の美味しさをお客様に届けたい。そうして始まったのが、1975年牧場の隣に開いた6坪のミートショップでした。初日にいらっしゃったお客様はわずか2人。1人は従業員のお母さんで、もう1人はご近所に住むおばあさんが心配して見に来てくださったそうです」(吉田さん)

その後、「SAIBOKU」の美味しさは口コミで徐々に広がっていきます。現在、本店ミートショップには、さまざまな商品が並んでいます。

「豚を一頭まるごと育てていますので、豚の恵みに感謝して『鳴き声以外はすべて売る』を実践しています。店頭にはロースやモモ肉はもちろん、レバーやモツもありますし、骨はラーメン屋さんが毎日仕入れにいらっしゃいます。『ゴールデンポークの骨でスープを作ると味が違う』と言われると、やっぱり嬉しいですね」(吉田さん)

中には、思わず見入ってしまう商品も!

「豚のミミを使ったミミガーは『ミミより品』、のど軟膏のスモークは『のど自慢』、豚の心臓、ハツのスモークは『ハツ恋物語』。レバーも『食べレ~バ~分かる』と言いますが、新鮮、肉厚で美味しいんですよ。ミートショップ入り口の一番いい場所に内蔵を置いているのも、内蔵を見れば肉の良し悪しが分かるから。豚肉に対する自信からなんです」(吉田さん)

商品のネーミングからも、豚に対する愛情がひしひしと伝わってきます。でも一体、温泉施設があるのはなぜなのでしょうか?

「ミートショップにお客様が多く訪れるようになり2002年に、日高牧場を南アルプス牧場へと移転しました。ここが更地になったことで、商業施設のお話もいろいろあったのですが、ある日の夜、社長である笹﨑の枕元に自分が可愛いがっていた豚が『ここ掘れブーブー』と現れたそうなんです。『これはどうにも気になる……』ということで、掘ってみたところ良質の温泉が湧いて出ました。サイボクは『お肉(ミート)の理想郷(ユートピア)』を目指す、“ミートピア”構想を掲げています。豚肉を食べて身体の中から健康になって、温泉に浸かって心からリラックスしていただく。そうした目的もあって温泉施設がオープンしたんです」(吉田さん)

豚が枕元に出てくるとは!? そうして出来上がったのが、今や年間400万人もの人々が訪れる豚の一大テーマパークだったのです。

家族が食べて喜ばれるもの、美味しいものを作るのが原点

「メッツァビレッジ」で店長を務めるのが、本店のカフェテリアを統括している、時田佳介さん。せっかく来たのだからということで、自慢のお肉を食べさせていただきました。

「サイボクの肉の美味しさは、お客様が一番ご存知ですね。お肉を焼いていると、『切らないでそのままちょうだい』と、焼き方のご要望をくださる方もいらっしゃるほどです。レバーが苦手という方でも、サイボクのレバーなら食べられるというお話しも聞きます。実は私の子どもも、お弁当に入れるタコさんウインナーを食べなくなりました(笑)。パパのところの肉じゃないって言っています」(時田さん)

先入観のない子どもたちの舌こそ、ごまかせないそうです。
そして今や「SAIBOKU」の美味しさは、世界でも認められています。

「サイボクがソーセージ作りを始めたのも『この美味しい肉を使ってウインナーを作って欲しい』というお客様のリクエストからでした。サイボクのソーセージの特徴は、肉質の良さにあります。保存料や着色料は使わず、ハーブや調味料も肉を引き立たせるために使う程度。自然の肉の美味しさを大切にしています。世界最大規模を誇る『DLG(ドイツ農業協会)』でアジア初の最優秀ゴールド賞を頂いたのをはじめ、世界でサイボクの味が評価されているのも光栄なことです」(吉田さん)

埼玉への地元愛が「メッツァビレッジ」への出店を後押し

これだけ人気があるにもかかわらず「SAIBOKU」の出店数は、それほど多くありません。

「豚は生き物ですから、年間で育てられる頭数が既に決まっているんです。育てるのに6ヶ月かかりますし、牧場や厩舎を急に増やすこともできませんからね。豚から作れる商品数も自ずと決まってくるので、今いる豚に感謝して、美味しいお肉を最高の状態で皆様にお届けしたいと思っています」(吉田さん)

「現在、加工品を置いていただいている場所はいくつかあるのですが、精肉を展開している場所はないんです。『メッツァ』は本店とも近い場所にありますので、新鮮な豚肉を提供できる。『SAIBOKU』のアンテナショップとして機能させていきたいですね。お客様の目の前で肉を焼いて、それを野外で食べていただいて……。ピクニック感覚で楽しんでいただければと思っています。『メッツァ』だけのオリジナル商品も考えているので、ぜひご期待ください」(時田さん)

時田さんは「メッツァビレッジ」でも店頭に立って美味しい肉を焼いてくれるそう。いったいどんなメニューが登場するのか、今から楽しみです!

取材・文/美濃羽佐智子
写真/末松千夏


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