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「私たちの手で、絶滅危惧種・トウキョウサンショウウオを守る」フィールドワーク【メッツァにすむ希少な生きもののくらしを守ろう!ー環境整備編ー】レポートvol.1

【フィールドワーク】メッツァにすむ希少な生きもののくらしを守ろう!のイベント報告をするシリーズがスタート!
2023年11月18日に開催された第1弾は、普段公開されていないメッツァのバックヤードに入り、その自然にふれながら、特殊な生態をもつトウキョウサンショウウオについて学び、よりくらしやすい環境づくりを行いました。


 皆さんは、メッツァビレッジに、絶滅危惧種II類に指定されている「トウキョウサンショウウオ」がくらしていることはご存じですか?
 生きもの観察のプロと一緒に環境整備を行うイベントを企画したものの、絶滅危惧種に指定されているトウキョウサンショウウオがこんな身近にいるのかと半信半疑のところもありながら、希少な生きものの保護に少しでも役立てるならと気合を入れて作業に参加しました。
 
 この企画は、「森のフィールド学舎」の皆さんとメッツァビレッジの共催イベント。
 「森のフィールド学舎」通称・モリマナさんは、埼玉県の自然や生きものを観察・調査・研究されていて、環境学習イベントなどを運営しているチームです。フィールドワークを通して、自然を客観的且つ俯瞰して見ることや、生きものを多角的に楽しみ、学ぶことを掲げており、「埼玉県生物多様性保全活動団体」としても活動されています。これまでにもメッツァビレッジと共催し、様々なフィールドワークのイベントを開催してきました。
 
 今回のイベントでは、モリマナさん、そして生きものに関心を持つ学生の皆さんも参加し、総勢15名が集まりました。汚れてもよい服に、長靴。手袋をし、準備万端です。
 始めにモリマナさんから、今日行う作業内容や、けがをしないよう道具を使う際の注意事項などの説明がありました。

■希少な生息地を守る


 
説明を受けた後は、トウキョウサンショウウオの住処であるメッツァビレッジのバックヤードへ。 
 「ここが、トウキョウサンショウウオが生息している場所です。僕らは以前、この宮沢湖の周りでトウキョウサンショウウオが生息しているか調査を行いました。昔は、宮沢湖の周辺にはトウキョウサンショウウオが多く生息していましたが、現在では、宮沢湖でトウキョウサンショウウオが生息しているのはここのエリアだけとなってしまいました。この場所をみんなで守っていきたいと思っています」とモリマナさんは語ります。
 
 続けて、「今日は基本的にトウキョウサンショウウオを見ることが出来ないと思ってください。普段、トウキョウサンショウウオは、枯葉や倒れた木の下など湿った所で生活していて、基本的に1月~5月にかけて水辺で産卵し、すぐに山に戻っていく。そういう暮らしをしています。彼らが産卵しに来る前に環境を整備して、迎えてあげたい」と、この時期に整備することの大切さを説明しました。

■整備は、みんなで考えながら


 
作業は、水路整備を行うグループと、伐採を行うグループの2班に分かれて実施しました。
 水路整備を行うグループは、シャベルや三角ホー(先端に参画の鉄板が付いた農機具)を使い、山から流れてきた土を掘り、産卵に必要な深い池を作っていきます。

 伐採を行うグループは、ナタやノコギリで伸び放題の草や木の剪定作業を行い、適度に光が入るようにしていきます。これは、茂みが多い場所にはイノシシが身を隠せるので集まってきてしまい、作った池や水路を壊される可能性があるため、それを防ぐために剪定し、入りづらい場所にするのだそうです。

 「どうしたら良いかな」「こうしてみよう!」などと相談しながら、皆で作業を進めていくと、あっという間に2時間ほどが経過していました。昼休憩でお腹を満たし、午後も作業の続きを行いました。


■土の中にトウキョウサンショウウオ発見!


 
すると、「トウキョウサンショウウオがいた!」と弾んだ声が。駆けつけると、そこには黒褐色で、クリクリとした真っ黒い目玉が飛び出し、愛嬌を感じる見た目をしたトウキョウサンショウウオがいました。体長は11cmほどで、オスとのこと。「性別は、どうやって見分けるのですか?」と質問すると、下腹部の肛門のそばが大きく膨らむなどの特徴で見分けるのだと教えてくれました。



 この日はトウキョウサンショウウオを見ることが出来ないと聞いていたので、まさかの出逢いに心が躍るのと同時に、「この愛くるしい生きもののために、しっかりと継続して環境の整備をしなければ」と強く感じました。
 
 絶滅危惧種の生態を学ぶフィールドワークイベントの第一弾となる今回のイベント。世界的な取り組みとして注目を集めているSDGsの中でも重要性が高い目標である「環境保全」、そして地球環境を考慮したオリジナルブランド「Ethical Choice(エシカルチョイス)」の第9弾として実施いたしました。


 トウキョウサンショウウオの寿命は10年~15年、場合によっては20年まで生きることもあるほど長く、保全活動も一過性ではなく長いスパンで考えていく必要があります。モリマナさん、参加者の皆さんと一緒に考えながら、最適な方法を模索していく過程を継続してお伝えしていきます。

 次回第2弾は、産卵後の春に開催を予定しています。クロワッサン型の卵を何個発見することが出来るのか。今からとても楽しみです。



文と写真 大崎みなみ


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