「ムーミンバレーパークのAto Z」【A】Alku Kauppa(はじまりの店)
ムーミンバレーパークのちょっとディープな情報を、AからZまでのキーワードにして、アルファベット順にご紹介していく「ムーミンバレーパークのA to Z」。
今回は、アルファベットのはじまりである‘A’にまさにふさわしい場所。
「はじまりの店 Alku kauppa(アルク カウッパ)」のクリエイティブの裏側をご紹介します。
Alku(アルク)は、フィンランド語で「はじまり」。
アルク、あるく、歩く、、、と響きが日本語でも覚えやすい言葉です。
Kauppa(カウッパ)は、フィンランド語で「店」。
余談ですが、パーク内のショップは、すべて〇〇kauppaという名前がついています。
ですので、アルク カウッパは、直訳でそのまま「はじまりの店」ということになります。
この名前は2016年頃に決まりました。その後、コンセプトや体験ストーリー、デザインやカラーリングなどさまざま考えながら、いまの姿になっています。
パークをつくるにあたり、拠り所にしたのは、原作者のトーベが生み出したアートワーク。トーンの統一をはかるために、パーク内は全施設のカラーやテーマ、ヴィジュアルアイデンティと呼ばれる施設を象徴するキービジュアルアートを策定し、それに基づいて内装のテーマやデザインをひとつひとつ計画しています。店内や看板などの各所には、そのキービジュアルのアートが潜んでいるんです。
パークのエントランスを抜けたすぐ先にある、アルクカウッパ(はじまりの店)は、パークの玄関であるエントランスの「はじまりの入り江」エリアにある最初のショップであることから、たくさんのキャラクターたちがゲストをお出迎えするウエルカムフラワーリースのアートを選びました。
背面に使われている鮮やかな黄色。これは、エントランスエリア「はじまりの入り江」のメインカラーです。
パークのエントランスは、パークでのはじまりや期待感、ワクワクなどを感じるエリアとして「期待感」「明るい」「希望」などの意味を連想させる黄色をアクセントカラーに選び、そのカラーを店内にも象徴的に使っています。
では早速、中に入ってみましょう!
店内には、黄色がアクセントになったベージュの明るい空間が広がります。壁面には、ゲストをお出迎えする巨大なウエルカムフラワーリースが。よく見ると、クラフトのムーミンたちがリースの隙間から顔をのぞかせています。
物語の世界を感じる、北欧らしいシンプルで柔らかな空間を意識して、柔らかな木のぬくもりを感じさせる什器をベースに、メインアートを彷彿させる草花のリースが華やかさや、やすらぎを演出します。建築のシンボル柱を芯にして、空間を活かした構成にしました。
奥の森の茂みは、少し怖くもあり、これからなにが始まるんだろう、とドキドキ感がある鬱蒼としたムーミン谷の世界。絵本『さびしがりやのクニット』に出てくる森にも、見えてきませんか?
立体感を意識して、書割パネルやシートで組み合わせました。
キャッシャー(会計レジ)のまわりも、奥に森が続いているような、物語の奥行を感じさせるような空間と、その手前にはほっと安心するようなころんとした丸いライトを配置して、対比をつくりました。
行きと帰り、二度楽しんでいただきたいという思いでつくったショップ、 アルクカウッパ。
実際のオープン後、訪れるゲストのみなさんにとっても、最初に入ったときは、はじまりのワクワク感と、これからパークの中で身に着けられるアイテムなどを発見する楽しみ。そしてパークを満喫したあとにもう一度立ち寄って、帰るまでのお買い物を楽しんでいただけるような場所になりました。
訪れるみなさんそれぞれの、パークでの「冒険のはじまり」のお手伝いができる場所として、アルクカウッパは今日もみなさんをお待ちしています。
ムーミンバレーパークのAtoZ に関しては、こちら(↓)をご覧ください
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株式会社ムーミン物語
川崎 亜利沙
(text by Arisa Kawasaki, Moomin Monogatari ltd.)