「森」でゆるやかにつながるエストニアと日本、そしてメッツァ(メッツァの夏至祭②)
北欧の夏至や夏の風物詩を体験できる「メッツァの夏至祭2024」では、
毎週末、北欧各国ゆかりのゲストが来日し、夏至祭を盛り上げてくれました。
前回の記事に続き、来日ゲストへの貴重なインタビューや、エピソードなどご紹介していきます。
バルト三国を知る特別プログラム、森の専門家がメッツァに!
夏至祭も終盤にさしかかった6月中旬、バルト三国の文化を紹介する「バルト三国ウィークエンド」のひとつとして、南エストニアから来た森の専門家ターヴィ・タッツィさんと一緒にメッツァの森を探検するイベントを行いました。
真夏のような太陽が照らす中、元気いっぱいに参加してくれたのは5~9歳の子どもたち。日本の子どもたちと交流するのは今回が初めてで、少し緊張気味だと話すターヴィさん。「みんなの年齢を足すとちょうど僕くらいだね。」なんて和やかな一面をのぞかせながら、ターヴィさんの奥さんの歌手でもあるマリさん、日本語の通訳をしてくれるヤンネさんも一緒に冒険スタート!
冒険の手始めに、みんなでエストニアの森の歌を歌うことに。ターヴィさんとマリさん(「マリ」はエストニア語で「berry=ベリー」のこと!)が何やらゴソゴソ…バッグから取り出したのはかわいらしいキツネの帽子!
森を歩いていると、木があって、その木にはリスがいて、小鳥の歌声も聞こえる-そんなのどかな自然を描いた歌。まさしくこの日のメッツァにぴったり!
みんなでハミングしながらいざ森の中へ!
専門家と森に入ると、見えていた世界がまた違って見えてくる
森に足を踏み入れた瞬間から、チョウやトカゲ、アリの行列に出会ったり、キツツキがつついた穴やなにかの生きものの巣穴を見つけたり、次から次へとおもしろいものがたくさん見つかります。そこはまるで森のおもちゃ箱のよう!
たくさんのキノコをつけた立派な木もありました。このキノコは耳のような形をしていて、触り心地はしっとりふわふわ、ちょっぴりぺたぺたした感じ。普段は固いというこのキノコ、この日は雨上がりだったので、水分を吸って感触がこんなにも大きく変わったようです。
幹にキノコがついている樹はもう元気ではないという証で、その役割を終えた木は、これから段々と土に還り、自然に還ります。そうして、ほかの生きものや植物たちが生きる手助けをしてくれます。
そんな自然の働きや循環、そして儚さを学びながら道を進むと、ゴール地点である森の広場に到着!そこは普段は立ち入ることができない特別な場所なんです。
ここではからだを使ったミニゲームに挑戦!
頭やおしり、指までも全身フル活用なこれらのゲームでは、鳥のさえずりと時折吹く心地良い風に包まれながら、子どもも大人も思いっきりリフレッシュできました。
さらには、エストニアの歌姫であるマリさんの演奏も!
柔らかく繊細な音色を奏でるエストニアの伝統楽器「kannel(カンネル)」には、よ~く見ると森のイラストが描かれているんですよ!
エストニアではなかなか目にすることがないという「クスノキ」(マリさんの後ろの大きな木も、私たちと一緒に演奏に耳を傾けているかのようでした。
探検の最後には、エストニアの子どもたちが描いた絵のポストカードの白紙面に、自分の手をスキャンして、5本の指のそれぞれに、新しく発見したことや見つけたもののキーワードをそれぞれ書きました。
ご存じの方もいると思いますが「メッツァ」はフィンランド語で「森」という意味。実はエストニア語の「森」もそれに似ていて、「mets=メッツ」と言います。
国や場所によって生息する動植物は異なっても、その場所を指す言葉は、同じ「森」。日本とエストニアの森も、生きる植物や暮らす生きものは異なりますが、「森」としての役割や働きは同じであるということ、日本とエストニアも「森」を通してゆるやかに繋がっていることをターヴィさんは教えてくれました。
ちなみにこのイベントは、2024年欧州文化首都に指定された南エストニアで開催されるフェスティバル「Aigu Om!」(アイグ・オム)の日本限定イベント。南エストニアのVõru(ヴォル)では、7月15日~21日に開催され、日本からのゲストともに、瞑想、コンサート、森のハイキング、映画、スモークサウナ、手工芸、伝統的な魚釣り大会など、多様なアクティビティを楽しむことができました。
現地のフェスティバルの様子を紹介している動画もぜひご覧ください!
メッツァにも、たくさんの動植物たちの暮らしの跡があります。
みなさんも遊びに来た時には、その息づかいをぜひ感じてみてください!
暑い中参加してくれたみんな、ターヴィさん、マリさん、ヤンネさん、素敵な冒険のひとときをありがとう!Aitah&Aitüma!(エストニア語とヴォル語で「ありがとう!」)
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文・写真:岸ゆかり、川﨑亜利沙